皆さんこんにちは。yuさんです。
日々のニュースの中でも「反社会的勢力」と聞かない日々はそれほどありません。記憶に新しいところでは、売れっ子の芸人さんたちが、反社会的勢力の主催する会に有料で出席していた「闇営業」などが取り沙汰されていました。
私ども住宅業界においても、特に不動産、建設というのは一度に大きなお金が動くので、反社会的勢力の活動の温床となり易いと言われ、国交省または県警より監視の目を光らせるようご指導賜ることがございます。
一方で、最近は顧客のモンスター化として騒がれることもしばしばあり、顧客の立場を利用して、企業に対して過度な要求をしたり、暴言を吐いたり、企業の担当者等を長時間にわたって拘束して暴力的な言動を与えてくる…そんな事例も見かけます。
…とは言うものの、どうすれば良いの? (´・ω・`)
そんなお悩みをお持ちの法務担当者もいらっしゃるかと思いますので、本日は、主に企業の法務担当者の皆さま向けに、反社会的勢力について復習する機会を設けられればと思います。もちろん、法務に関係ない方も、これを機に反社会的勢力について知っておく良い機会かと思いますので、お時間のある方はお付き合い下さい。
■反社会的勢力とは?
一言で言ってしまうと、「暴力団等」とはなるのですが、いろいろと定義はあるようです。
例えば、暴力団対策法という法律で言えば、「集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれのある団体」と定められています。威力を示して金品等の経済的な利益を要求する団体とも言われており、お金などを得る手段として暴力等の脅しを使う団体…といったところでしょうか。要は、昭和の暴力団ですね。
一方、日本政府が定義する反社会的勢力というものもあります。
①端的に「暴力団」
②暴力団が「組織実体を隠蔽したもの」
③暴力団をはじめとする反社会的勢力で定義されるもの、すなわち、「暴力団」「暴力団関係企業」「総会屋」「社会運動標ぼうゴロ」「政治活動標榜ゴロ」「特殊知能暴力集団等」といった属性要件を持つ集団
などと定められています。我々、企業法務に携わる人間は、上記③として取扱うことが多いですね。
ちなみに、「ゴロ」とは、ゴロツキの略で、企業などのスキャンダルを口外しない代償として口止め料などを請求する、そうした行為を繰返す者を指します。必ずしも暴力団員ではない場合もあります。
また、「特殊知能暴力集団」とは、暴力団の虎の威を借り構造的な不正の中核を為す集団で、例えば株価操作やインサイダー取引などで証券市場や企業などから金銭要求などを繰返す者などをいいます。たまに、これらの中に現職の税理士や弁護士が加わることもあるようで、許しがたいですね。
■反社会的勢力は身近にいる
これらの定義を見ると、一部の恐喝事件や暴力事件、総会屋など、特定の規模の企業にのみ起こっているように見えますが、実体はそうではありません。
賃貸で借りたアパートの敷金が戻ってこない、家族がオレオレ詐欺に逢った、貸金業者よりお金を借りたら取立に来た人がヤバかった…と、割と身近なトラブルに反社会的勢力が関わっていることが多いのです。我々、住宅業界でも、展示場に来場したお客さんの腕にタトゥーが入っているのが見えた…とか、孫請けの職人の中に怪しい人物が居るとか…よく聞く話です。
(´・ω・`)怖いね。
■反社会的勢力への対策、排除
では、どのようにこれらの反社会的勢力を排除していくのか?難しいですよね。
(1)契約書に反社会的勢力の排除条項を必ず入れる
具体的に契約書に盛り込む条文は弁護士等にご相談されるのが宜しいかと思いますが、簡単に申し上げると、①「私は過去及び現在、反社会的勢力ではなく、将来にわたってもこれに該当はしません」と誓約させること、そして、②「万が一これらに該当するようなことが判った場合には、貴社より契約を解除されても何らの損害賠償等の異議を述べません」と契約条項に盛込むこと…が第一歩となります。
(2)反社会的勢力チェックの仕組みをつくる
そして、できれば契約締結の前に、「反社チェック」を行いましょう。
(´・ω・`)具体的には、何をするの?
はい。私の勤務するハウスメーカーでは、反社チェックとして過去の新聞記事より検索することを行っております。対象者(または企業名)と生年月日、所在地(市町村)などから、過去の新聞記事を参照して、暴力団に属していないか、及び反社に該当するような行為を行った履歴は無いか…を照会しています。
ツールとしては、こちらを使用しています。(※アフィリエイトではないので、ご安心下さいw)当社では、日経テレコンという新聞記事検索の有料ツールを使用しています。
例えば、対象者が山田A輔さんであった場合、「山田A輔 暴力団」とか「山田A輔 逮捕」などの複合検索を利用して過去の記事を探索しています。
で、〇年前の記事で、当時△歳なら…本人の可能性が疑われる場合には、
①担当者から対象者に対するヒアリング実施、または
②都道府県の暴追センターに照会をかける
などを行っております。
ただ、これらの対策を講じても、100%あぶり出すことは難しいものです。企業として大切なのは、可能な限り、事前の要望措置を講じ、それでも反社会的勢力と繋がりがあることが判ったときには即座に手を切る姿勢が必要です。
反社だと判ったのにダラダラとお付き合いを続けることが、今や企業にとって深刻なレピュテーションリスク(風評被害)に直結し、最悪の場合、市場から追放されることもあります。
■現場での対応
万が一、反社会的勢力(の中でも特に暴力団関係者)と判った場合には、①反社は顧客ではなく保護する対象ではないと認識し、事務的に排除すること、②契約前に反社と判った場合には、契約自由の原則に則り、理由を告げることなく「当社としては取引をお断りさせていただきます」と毅然とお断りすること、などを心掛けましょう。
下手に理由を述べて議論になった場合、反社は口がたつ場合が多いので、自社に不利に働くことがあります。バッサリとやる…そんな感じで構いません。
もちろん、一人で対応することは厳禁。可能な限り複数でお会いしましょう。必要に応じて弁護士に同席頂くのも手です。
また、営業担当者にとっては目先の1件の契約も大事ですが、会社としてはモンスター化した顧客の対応をするにも相当の時間と労力とを後で割かれることがあることを重々承知して、本当に自社の顧客として取引をするに値するかを冷静に見定めることは重要です。
企業としては、その顧客が反社でなかったとしても、契約条項に「暴力的な言動」、「威力を用いて」などを顧客が行ってきた場合には、契約を解除できるようにしておくのがベターです。私の勤務するハウスメーカーでも年に2件ほど、こういったトラブルがあり、その都度、私が対応しています。これ、けっこう大変なんですよね、マジで。
すみません、最後は愚痴になりましたね。
ではまた。
yuさん拝
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