皆さんこんばんは。yuさんです。
住宅産業はクレーム産業。そう揶揄されますが、実際そうです。私が勤めるハウスメーカーでも毎日のようにクレーム対応は発生しております。
(´・ω・`) けっこうツライねん。
本日は、今起きているクレームに対して、ハウスメーカーがどのような対応をしているのか、その実態をお話ししようと思います。

私が勤務するハウスメーカーで発生しているクレームは、大別すると以下の2つに分けられます。
(1)担当者(社員)によるヒューマンエラー
(2)施工、検査に起因するもの
■担当者(社員)によるヒューマンエラー
私見ですが、完成品の家を皆さんが購入する戸建て分譲住宅(建売住宅)よりも、皆さんの希望通りに家を建てる自由設計の注文住宅において、このヒューマンエラーに起因するクレームは多いと感じております。特に、営業、設計、インテリアコーディネーター(以下、「IC」と略します。)、現場監督など、役割が細かく分担されているビジネスプロセス(BP)を持つハウスメーカーになればなるほどクレームが増える傾向にあると思います。

よくあるヒューマンエラー系のクレームは、
・営業さんとの打合わせ時に「できる」と聞いたからオタクの会社に決めたのに…
・営業さんから聞いていた説明とは違うのですが…
・ICさんと決めたはずの仕様が付いていないのですが…
・現場監督が来ると言った日に現場に来ないのですが…
・アフターの担当者に補修依頼をしたのに、〇ヶ月何の音沙汰も無いんですけど…
のようなものがありますね。言った/言わないの争いになるもの、虚偽の説明、約束の不履行、担当者による身勝手な判断による言動…枚挙にいとまがありません。
(´・ω・`) ひどいね。
大手のハウスメーカーになればこれらを「仕組み」で防いでいることもあり、比較的抑えられている会社もあるようですが、急激に業績を伸ばしている中小ハウスメーカーやビルダーなんかは要注意です。「仕組み」が無いまま急成長して、社員個々人の属人性に頼った業務になっていると、これらのヒューマンエラーは続発している傾向にあります。

これらのクレームが本社に電話で入ってくると、基本的には誠意をもって謝罪を尽くすしかありません。説明の至らなさなどでご迷惑をお掛けしたり、お客様の期待に応えられなかったりしたことに対し、深くお詫び申し上げております。
(*´Д`)『謝って終わりですか?誠意を示しなさいよ』
中にはこのように金銭要求をされるお客様もいらっしゃいますが、法的には言った/言わないの争いは、なかなか立証が難しく、この要求には応じかねることが多いです。
但し、2020年4月1日以降に契約を結んだ案件については、改正民法の適用を受けるので、一概にこの対応をするとリスクを抱えることになりますので、気を付けています。お客さんが契約した目的や背景にこのクレーム内容が含まれていた場合には、契約不適合に該当するおそれがあるからです。
改正民法、契約不適合については、私の記事でも少しご説明しておりますので、気になった方はどうぞ。
■施工・検査に起因するもの

こちらはハウスメーカー自体の存続に関わることにもなりかねないので、特に注意を払って対応させて頂いております。なお、決してヒューマンエラーが軽いと申し上げているわけではありませんので、ご容赦下さい。
例えば、
・思っていたのと色合いが違うのですが…
・ちょっと施工が雑じゃないですか?
・図面と比べると収まりが違うのですが…?
・床がたわむのですが?
・外壁にヒビ(クラック)が入っているんですが…?
・こないだの雨の時、2階の窓が開きっぱなしだったらしいですけど… ※お引渡し前
のようなものがあります。主に、現場管理の不足、下請け業者に対する統制が効いていない、検査の漏れなどにより発生するものです。中には、瑕疵に該当するものもありますので、その見極めが大事になっております。
契約不適合責任と瑕疵につきましては、こちらの記事にまとめさせて頂いておりますので、お時間のあるかたはどうぞ。
家づくりをされた皆さんにとっても非常に気になるところですよね。ただ、私が勤務するハウスメーカーでは、概ね以下のような対応となっております。なお、全てのハウスメーカーがこの対応をしているわけではありませんので、くれぐれもご注意ください。

まず、色合いや施工の出来栄えに関するものについては、基本的には応じかねるものとなっております。
色合いについては、お客様と合意した商品・仕様が正しく使われている限り、後から「思っていたのとは違う」はなかなか通りにくいです。したがって、色決め等の際は、皆さんは必ず現物を見て確認するようにしましょう。
また、施工の出来栄えにつきましては、個々人の主観による判断になってしまいますので、社会通念上問題ないと判断される施工であった場合には、出来栄えに関するクレームには応じかねるものとなっております。
次に、瑕疵が認められるもの、または瑕疵には至らないとは思われるが施工上の不備であると認められるものについては、当然に請負者の責任として是正工事をさせて頂いております。お引渡し後も一定期間、この対応を無償でさせて頂くことを、一般に「保証」と呼んでいます。
以上、まずはクレームが発生したときの対応をご紹介いたしました。もちろん、クレームが起きないように最大限の注意をもって業務にあたるのが我々ハウスメーカーの責任でもあります。ただ、何百人、何千人と社員を抱えれば、中には真っ当な仕事をしない社員も居るのは、これまた真実。
願わくば、全社員が一丸となってお客様のために…となるのが理想ではありますが、人間が行う以上、それなりのミスやエラーは発生してしまいます。
家づくりをされる皆さんにおいては、ご自身でできる予防措置も並行していただけると、よりリスクの回避はできてきます。
ではまた。
yuさん拝
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