皆さん、おはようございます。yuさんです。
家づくりをされる皆さんが一番怖いのが「欠陥住宅を掴まされること」ではないでしょうか。一生涯に一度の大きな買い物にもかかわらず、失敗してしまった…。そんな経験はしたくないですね。本日は欠陥住宅について、法的側面そして実務的側面(ハウスメーカーによる実際の対応や運用の側面をいいます。)より掘り下げてみようと思います。

■欠陥住宅とは?
設計・施工ミスや手抜き工事などによって、住宅として当然に備えるべき性能・機能が欠如している住宅を、一般に欠陥住宅と言います。
また、あってはならない危険性を持った住宅も欠陥住宅と言われます。具体的には、雨漏り、外壁・内壁の亀裂、外壁や床の一定以上の傾き、家の揺れ(振動)、結露やカビなどが挙げられます。
そのほか、先日ご紹介したレオパレス21さんのアパートの事例のように、建築基準法に違反した住宅も当然に欠陥住宅に該当します。
これらの現象の背景には、構造上の問題が潜んでいることが多く、皆さんの生活や健康に甚大な被害をもたらす危険性があります。 (´・ω・`)こわいね。
これらの状態を総称して、法的には住宅の「瑕疵(かし)」といいます。この言葉は是非覚えておいてください!
■瑕疵担保責任とは?(※改正前の「旧民法」の定めです。今は存在しません。)
この言葉に聞き覚えのある方もいらっしゃるかと思います。現行で運用されている民法上は存在しない概念ですので、簡単におさらいだけしておきます。建売住宅と注文住宅とで多少異なる点があります。
(1)皆さんが建売住宅(戸建て分譲住宅)を購入した場合
売買の際に、皆さんが通常の注意を払っても発見できなかった瑕疵(「隠れた瑕疵」といいます)があった場合、売主であるハウスメーカーは、皆さんに対して瑕疵の補修をしたり、損害の賠償をしたりする責任を負います。宅建業法という法律の定めに従い、一般には、お引渡し後2年間、ハウスメーカーがこの責任を負う…とする運用をしていたのが通例でした。
(2)皆さんが注文住宅として家を建てた場合
ハウスメーカーによる工事に瑕疵があった場合、皆さんは期間を定めて、その期間中に瑕疵を補修するよう請求することができ、または損害の賠償請求をすることができます(厳密に言うと、少し違いますが…。)。一般的には売買の運用に準じて、施工については引渡し後2年としているハウスメーカーが多かったと思いますが、ここの運用はマチマチです。
「旧民法」では、契約の目的を達成することができないとき、注文者は契約を解除することができる…との定めもありましたが、建物の請負についてはこれが適用されていませんでした。

■品確法の定め(新築住宅の場合の例外)
…上記の旧民法の定め、皆さんちょっと不安ですよね。「高いお金を払ったのに、引渡し後2年かよ。」って。
2020年4月1日から施行された改正民法上は上記の瑕疵担保責任の概念は消失し、別の概念に変わりましたが、皆さんが取得する住宅が新築住宅の場合、この瑕疵担保責任は別の法律で強化されて残っています。
(´・ω・`) 注目!!

品確法(正式には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」といいます。)という法律が適用され、上の図のような住宅の構造耐力上主要な部分(図の左側、緑色部分)、及び雨水の浸入を防止する部分(図の右側、青色部分)について、住宅事業者は、瑕疵担保責任を10年間負わなければなりません。
もちろん10年先もハウスメーカーをはじめとした住宅事業者が存在している保証は誰にもできませんので、別の法律で、住宅事業者には、この10年間の瑕疵担保責任を全うできるよう、保険へ加入するなどの義務があります。
【注意】建売住宅の場合、完成後1年以上経過したものは新築住宅とはみなされませんので注意
■改正民法ではどうなったのか?
先述の通り、民法上は瑕疵担保責任の概念は消え「契約不適合責任」という概念に統一されました。
例えば、注文住宅(工事請負契約)でいえば、ハウスメーカーは、性質、品質、規格等において、契約の主旨に適合した仕事を完成させる義務を負います。契約の主旨とは、契約の内容で明示的に合意されていた内容だけでなく、その契約の性質、契約をした目的、契約締結に至る経緯その他の事情に基づいて定まる…とされています。
そして、契約に適合しない=契約不適合の場合、皆さんはハウスメーカーに対して、補修、損害賠償の請求、請負代金の減額請求、または契約の解除(但し、契約不適合が軽微な場合は解除不可)などを行うことができます。
旧民法との違いは、皆さんからすると①請求の幅が広がった、そして②瑕疵 → 契約不適合の幅が広がったことにあります。請負代金の減額請求や契約解除が明記され、「契約」の定義がかなり拡大されています。
例えば、皆さんが家づくりの目的をハウスメーカーの営業担当者に明確に伝えていたにもかかわらず、出来てきた家でそれが実現できなかったときには、契約を解除することも法律上は可能になっています。
■なぜ欠陥住宅(瑕疵)は発生するのか?
さて、話を冒頭の欠陥住宅(瑕疵)に戻します。なぜ、この欠陥住宅が発生するのでしょう…?
それは住宅業界の構造上の課題であるともいえます。多くのハウスメーカーは自ら工事はせず、下請けの業者に工事の種類ごとに分離発注をします。その下請け業者が、更に下請け(ハウスメーカーからすると孫請け)に発注することもあります。
そのハウスメーカーの現場監督は、決して皆さんの家の工事だけに張り付いているわけではなく、会社にもよりますが10~30棟前後を掛け持ちで担当していることが多いです。
そして、建売住宅や企画住宅(規格住宅)のように型が決まっているものではなく、注文住宅の場合には、各社『施工マニュアル』のようなものはあるものの、オーダーメイドの住宅は必ずしもマニュアル通りに施工できない場合もあります。そんなとき、現場監督の目の届かないところで、孫請けの職人の自己判断で工事を進めてしまう…ことも現実問題としてあったりします。
最悪の場合、(*’▽’)「どうせ見てないのでテキトーでいいや」みたいな、誇りの欠片も無い職人も居たりします。私が勤務するハウスメーカーの大工職人は、壁で隠れる部分の柱に「災」と落書きをしていた…なんて、耳を疑うような道徳心の欠落した事例もございました。
もちろん、ハウスメーカーの現場監督も下請け業者も『検査マニュアル』に則って検査をしますが、細部にわたってまでチェックできていることはそれほどありません。
・職人が手を抜く、身勝手な判断で施工する
・検査が機能しない場合もある
こうした背景で、欠陥住宅(瑕疵)は無くならないと言われています。ただ、これも含めて皆さんと契約をするハウスメーカーの元請けとしての責任に含まれます。この元請け責任をどれだけ果たせるかが、今後のハウスメーカーが市場で生き残れるかの一つのバロメーターになると考えております。
■契約不適合、欠陥住宅(瑕疵)を防ぐには?
(´・ω・`) じゃぁ、どうすれば良いのさ?
はい、発注者となる皆さんが出来る手立てとしては、まずは契約する会社を見極めるところから始めては如何でしょうか?
例えば「ハウスメーカーランキング」などを調べて、その口コミなども検証する。※いろんな企業がランキングを出していますので、見比べてみても良いかも。
例えば、急成長・急拡大している会社は疑ってかかる。「業績の拡大に企業の実態が追い付いていないんじゃないか?」とか。
例えば、営業担当者を見定める。見定める際には、こちらの記事をご参考になさってください。
(´・ω・`) そして?
契約に至るまでに、皆さんの家づくりに対する想いを存分に語って頂き、営業担当者にメモをさせましょう。改正民法では、このメモですら契約の内容に含まれることがあります。もちろん、皆さんも打合せの記録を全てメモにとっておくことも必要です。
更に、契約前に営業担当者に聞くようにしましょう。「おたくの会社では、現場監督は工事期間中に何回現場に行って、どんな検査をしていますか?」と。答えられなければ調べさせて、答えを持って来させましょう。これも契約の内容に含まれることがあります。
契約後は、担当者(営業に限らず現場監督などにも)に対して、常に「図面では」と口に出すようにしましょう。ハウスメーカー側に対して、「このお客さんは細かく見ている」と思わせることです。
これら全てのものが、何かトラブルが発生したときに抜群の効果を発揮します。
「〇月〇日の△時の打合せで、おたくはXXXXXと仰っていましたよね?」と淡々と示してくる顧客に対して、ハウスメーカーは何もできません。
最後は少しばかりハウスメーカーが悪であるかのような書き方になってしまいましたが、家づくりの主役はやっぱり皆さんです。忙しいかもしれないし、面倒でもありますが、一生で一度の家づくりで後悔しないよう、少しばかり業界の人間よりのアドバイスです。
何かのご参考になれば。
では、また。
yuさん拝
コメント
[…] 契約不適合については、またこちらの記事でご説明しておりますので、宜しかったらご覧ください。「専門用語がたくさん入っていても大丈夫」という方は、こちらをお読み頂けると更にわかるかと思います。とにかく上記①~④のポイントをお忘れなく。 […]
[…] 改正民法、契約不適合については、私の記事でも少しご説明しておりますので、気になった方はどうぞ。 […]
[…] 品確法につきましては、こちらの記事で触れておりますのでご参照ください。 […]