皆さんこんにちは。yuさんです。
昨日の米国株式市場に続き、連休明けの本日2021年9月21日の日経平均株価も大きく下落しました。その要因が、中国最大の不動産会社「恒大集団(Evergrande Group)」の資金繰り懸念による世界の投資家のリスク回避と言われています。
(´・ω・`) 恒大集団?
はい。
この20年間、中国経済のけん引役であった不動産業界において、絶えずその中心に居た大企業です。実はこの2年ほど、経営危機が囁かれていたようです。
本日は、この恒大集団に何があったのか、なぜ今、世界の株価を脅かしているのかを見ていきたいと思います。
■恒大集団とは?

河南省出身の許家印氏が1996年、38歳の時に起こした不動産開発(デベロッパ)であり、280以上の都市で事業を展開しているようです。中国政府が推し進めてきた改革開放路線の下、ここ数十年間、不動産開発事業で急成長してきた会社です。
なお、本社登記はケイマン諸島のようです。。。
詳しくは、【解説】破綻危機 中国の不動産大手・恒大集団とは?(Yahoo!ニュース)をご覧いただければと思います。
■恒大集団の財務内容は?
(1)P/L(損益計算書)は好調に見える?
同社の業態的に、日本で言うと不動産御三家の一つ、三井不動産に近いのかな~と勝手に思っていますので、三井不動産と比較してみます。
恒大集団 2020.12期 | 三井不動産 2021.03期 | |
売上高 | 8.6兆円 | 2.0兆円 |
営業利益 営業利益率 | 1.1兆円 12.5% | 0.2兆円 10.2% |
当期純利益 当期純利益率 | 0.5兆円 6.2% | 0.1兆円 6.5% |
(´・ω・`) いいんじゃない?!
そうですよね。なお、1RMB=17円で簡易的に人民元を円換算しております。では、B/S(貸借対照表)を見てみましょう。
(2)B/S(貸借対照表)に見える危機
恒大集団 2020.12期 | 三井不動産 2021.03期 | |
現預金 | 2.7兆円 | 0.2兆円 |
売上債権 | 2.4兆円 | 0.0兆円 |
小計 | 5.1兆円 | 0.2兆円 |
仕入債務 | 14.1兆円 | 0.1兆円 |
未払法人税等 | 2.7兆円 | 0.0兆円 |
小計 | 16.8兆円 | 0.1兆円 |
差引き | ▲11.7兆円 | +0.1兆円 |
(´・ω・`) !!!
現金及びすぐに現金化できる資産と、1年以内に支払わなければならない債務とを比較すると、11.7兆円分支払いができない状態にあります。資金繰りヤバいですね。
なお、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この超簡易B/Sの債務には、銀行等からの有利子負債を一切含んでいません。同社は、これにプラスして銀行からの借金も返さないといけないのです。
逆に、三井不動産は、この表ですと数字がショボく見えますが、1,000億円キャッシュがプラスしていることが判りますので、安全度合いがダンチですね。
更に、直近で発表された同社の2021年6月度(中間決算)におけるB/Sを見てみましょう。

いったんB/S全体を示しましたが、同じように見ていくと、(現金+売上債権)-(仕入債務+その他の流動負債)=▲18.2兆円と資金繰りは更に悪化しています。
これにプラスして、1年以内に返済しないといけない短期有利子負債が4.1兆円あります。
(´・ω・`) 詰んでんじゃね?
今、恒大集団は資産が売却できることを必死にアピールしたり、株主に対して株式を持ち続けるよう交渉したりしているようです。
各種報道は、その負債総額を中心に報道しているようですが、その本質は資金繰りにあると思います。負債総額が大きくても、返せるだけのキャッシュフローがあれば問題ありませんからね。
■今、どんな状況?
現状をザックリ説明すると、恒大集団の有利子負債に関する9/20支払い期限の利子の支払いが滞っています。延滞っていうやつですね。
次の支払い期限が9/23で、最悪9/30までの支払いがあれば助かりますが、それに間に合わなければ、いわゆる「デフォルト」になります。
けっこうギリギリの状態です。
■恒大集団の破綻の影響は?
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)に続き、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)とスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も同社の格付けを相次いで引き下げました。引き下げ後の格付けは「Cc」(流動性が枯渇している)。
仮にこの売上規模8.6兆円の会社が破綻したらどうなるのでしょうか?
実は、中国のある不動産専門家が、「2021年9月 不動産企業危険度ランキング」(25社リスト)を、それぞれきちんとした根拠を添えて、ネット上にアップしましたが、瞬く間に削除されてしまったとの事です。
1)恒大、2)華夏幸福、3)新華聯、4)鴻坤地産、5)恒泰地産、6)実地地産、7)藍光発展、8)宝能集団、9)栄盛発展、10)泰禾地産・・・などです。
これを見ると、単に恒大だけの問題ではなく、不動産業界全体にバブル崩壊の兆しが表れていることがうかがわれます。不動産業界のバブルが崩壊したら、その影響は金融業界、建設業界……と果てしなく広がるのは間違いないでしょう。
例えば、不動産業界のバブル崩壊が起これば、世界中の不動産価値は下落して、担保価値を失い、金融機関の貸し剥がしが始まります。企業の大倒産時代は…2008年のリーマン・ショックの通りです。
そして、皆さんが借りる住宅ローンにも影響が出ます。私の過去の記事「 住宅ローン ~変動金利と固定金利どちらが有利か分からない~」も参考にしながら、ローン防衛が必要になるかもしれません。
そして、本日2021年9月21日、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によると、経営難が表面化している中国の不動産開発大手、中国恒大集団に対する投資額は、前年度末時点の時価評価で合計96億7,301万円だった。」(ロイター通信)との報道もあります。
(´・ω・`) 私らの年金資産?!
そうですね。この恒大集団の株価は、実は2018年頃がピークで約30HKD(香港ドル)を記録して以来、同社の財務内容の低下に連動して下がり続けており、今年に入って約80%も下落しております。
本日現在2.27HKD。ピーク時のわずか7.5%の価値しかありません。
(´・ω・`) !!!
GPIF、投資運用のプロを気取って、我々の年金資産を預かって何やってんでしょうね。。。
実は、投資家だけの話ではないのがお分かりいただけたでしょうか。
これだけの会社ですので、中国政府がほっとくわけにはいかないとは思いますが、引続き注視が必要なのは間違いありません。
ではまた。
私は、今月の頭に、不動産系の株は先行して売りました。
yuさん拝
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