その契約待った!!「約款」のチェックポイントが分からない

契約書 ハウスメーカーあれこれ

皆さんこんにちは。yuさんです。

私が所属する住宅業界、お客さんとの契約が多数挙がる月があります。ハウスメーカーにもよりますが、おおよそ3月と9月!この時期は、営業担当者はじめフロントスタッフは忙しそうです。

皆さんが注文住宅として家を新築する場合、ハウスメーカーと「工事請負契約」を締結します。工事請負契約の性質についてお知りになりたい方は、私の以前の記事「注文住宅 ~工事請負契約が分からない~」をご覧いただき、ご確認ください。

デザイナーハウス

さて、この工事請負契約を締結する際、多くのハウスメーカーでは契約書類が『工事請負契約書』と『工事請負契約約款』(『契約約款』『工事請負約款』など会社によって名称は違う場合があります)とに分かれています

そして、いい加減な営業担当者の場合、この『約款』については説明がなく、「後で読んでおいてください」で片づけてしまう者も居ます。

(´・ω・`) 読んどきゃいいんでしょ?

約款

いいえ、違います。

『約款』を読まずに契約書に判を押すと、約款の内容に同意したことになる場合がほとんどです。そして、中には皆さんに一方的に不利な約款となっている場合もゼロではありませんので、くれぐれもご注意ください。

要は、契約書に判を押す前に、必ず『約款』をシッカリと読み、内容を理解しましょうということです。内容が分からなければ、営業担当者に説明を求めましょう!【必須】

本日は、この『約款』を読む際に注意すべきポイントをご案内しようと思います。



工事請負契約約款とは?

契約書本文には記載されない、より細かな取り決めを定めた書類のことで、損害や違約金、解除条件などについて定めています。
一般的に十数ページにわたり、数十条から成ります。契約書の延長のようなもので、契約書と一体を成す重要なものだと思っておきましょう



工事請負契約約款のチェックすべきポイント

住宅_03

(1)契約不適合責任(瑕疵)

以前は瑕疵担保責任と言われたものです。この契約不適合責任についてお知りになりたい方は、私の以前の記事「欠陥住宅を法的側面、実務的側面から整理してみました ~改正民法~」でご確認ください。

非常に簡単に申し上げると、「住宅に欠陥が見つかったらどうするか」を定める項目です。

住宅品質確保促進法住宅瑕疵担保履行法という法律により、新築住宅の主要部分(柱や梁、雨水の浸入を防止する部分など)の欠陥は、引渡しから10年間はハウスメーカーが無償で補修をしなければならない義務があります。

それ以外の部分については会社ごとに定められているため、この基準と補償内容、有効期間をチェックする必要があります。期間については、2年間が一つの目安です。

そして、この権利を行使できる期間については、民法が改正された現在はハウスメーカーごとにバラツキが見られますのでご注意ください。

約款では、「契約不適合を知ったときから〇年以内」とか「住宅の引渡しから〇年以内」と定められています。


(2)遅延損害金

何らかの理由で工事が遅れた場合、約束した日にハウスメーカーによる引渡しができない場合に、その損害をカバーするための違約金について定める項目です。

工事請負契約の契約金額に対して、年利14.6%を上限に、それを日割りにしたものを請求することが一般的です。つまり、引渡しが一日遅れるごとに、請負金額の4/10,000程度の金額が皆さんに支払われることになります。

逆に、皆さんが請負代金の支払いが遅れた場合に、同様に遅延損害金を払わなくてはなりません。

この金額や期間の定めが不明確になっていないか、チェックしましょう。



(3)危険負担(天災や不可抗力による損害)

危険負担について分かり易く説明しているのは、こちらのサイト(外部サイト)になります。

地震や台風などの天災によって損害が生じた場合に、その責任を負って費用を負担するのは誰か、を定める項目です。

火事を別として、天変地変による損害は注文者・依頼主である皆さんが負担しなければならないケースが一般的です。

例えば、皆さんの家の建築中に大地震が発生して倒壊したため、ハウスメーカーが家の引渡しができなくなったとき、それを補修する場合は、その費用は皆さん負担ですよ…という話です。

(´・ω・`) マジか?!

ただし、施工会社で保険に加入している場合は、その保険でカバーできない残りの部分のみが負担範囲になるため、この保険加入の有無は確実に確認しておくべきポイントです



(4)第三者への損害を与えた場合

工事中に、通行人や近隣にケガなどの損害を与えてしまった場合に、誰が責任をとるかを定める項目です。これは基本的に施工会社(ハウスメーカー)が責任を負うようになっており、民法でもそのように定められています。
不明確な書き方だったり、皆さんに責任があるように定められている場合は、指摘する必要があります。



(5)皆さんからの契約解除

万が一の事情により、依頼主である皆さんから契約の解除を申し出て工事を中止する場合のルールを定める項目です。

基本的には細かい条件が定められており、余程の事情がない限りは解約が難しいように定められています。また、ほとんどの場合、ハウスメーカー側に問題があったとしても、完成している部分については皆さんが費用を支払う必要があります。

私の以前の記事「注文住宅のキャンセルが簡単にはできない ~契約の解除・解約のトラブルにご注意を~」にもこのあたりを詳しく書いておりますので、ご参考までにお読みください。




まとめ

契約書の内容は難解な表現がされていることが多く、「自分にはきっと理解できない」と思い込みがちです。しかしこの記事で説明した項目のように、一つ一つを噛み砕いてみれば、ごく一般的なことが書かれていると分かります。

どんなに不条理な条件でも、法律に違反していない限り、サインをすればそれに同意したことになってしまいます。苦手意識を持たず、一つずつ理解するつもりで、約款はしっかりと読み込みましょう。


ではまた。
yuさん拝



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